突貫


 いつものように、携帯の目覚まし機能で目を覚ます。ひどい寝汗だ。
嫁はすやすやと寝ている。あまぎさんは適当な服を持って、2階の寝室から1階のリビングへ降りていく。
きっとねぼけていたのだろう。階段の中間にさしかかったときに事件は起きた。


ドザガガガッ


階段を踏み外してしまった。右手には仕事に着ていく衣類を持っているためふさがっている。
これはまずい。なんか体勢的に頭いっちゃう?みたいな感じだ。
しかし、そこはあまぎさん。あいている左手をついた。さすが。
だがその左手は段の面積が狭くなっている箇所についてしまったため、ずり落ちた。なにやってんだ。
さぁ、両手がだめだ。どうする?人間にはまだ「両足」という最終手段が残っていた。
左足は階段を踏み外した原因のため、役に立たない。空中をエアでも決めそうな感じで弧を描いている。
奥の手。右足の出番だ。あまぎさんは思い切って右足を振り下ろした。


ガッ


不運なことに段の端に強打。これは痛い。しかし、そのまま下の段にがっしりと着地。よし。
ここで、更なる不運が待ち受けていた。状況を確認してみよう。

1.右手には衣類
2.左手はずり落ちてひじを強打
3.左足はランデブー
4.右足は予定より下の段に着地

もうおわかりだろうが、重心がくずれまくっている。
あまぎさんは腰部をクリティカルヒットした。

キャァァァァァッァァァ!!!!イッタァァァァァァイ!!!

心の中の叫びです。そして、階段で悶えている場合ではないのでとりあえずがんばってリビングに行き、ソファーへ身を預けた。

グォ!?

おしり。いわゆるでん部。ヒップに激痛が走る。あれ?うったの腰じゃなかったっけ?
がんばって洗面所に行き、とりあえず全裸になった。全裸になる必要はなかったかもしれないが、ついでってことで。
おそるおそる鏡に背を向けてみると…。
例えるなら、パンツにわりばしはさんでケツ圧でわりばしを折るっていうエンターテイメントのあのわりばしの感じで赤くなっていました。
軽くわかりにくい気がしますがスルーでお願いします。
全裸でわなわなしてるのもあれなので、シャワー浴びることにしました。
はい、実によくしみます。やっちまったって感じです。
満身創痍で全裸。とりあえず、服を着ますがいちいち痛い。
がんばって、服を装着しソファーに腰掛けます。

なんかおなか痛いな・・・

と思ったんですが、おなかが痛いのかおしりが痛いのかよくわかりません。
でもおなかだとまずいので、御トイレに行きます。
しりにきます。痛いです。なんですか。なんか悪いことしましたっけ?
自分にそう問いながら、がんばります。
もはや、抜け殻のようになってしまいましたが、仕事に行かないといけません。
果たして生きて帰れるのでしょうか。
満員電車でしりを押されないことを願います。
みたいな。


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